ドイツの食文化の歴史・Kleine Geschichte der deutschen Esskultur
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日本で知られているドイツの食文化はソーセージ、渋い肉料理、ザウアークラウト、パンですね。毎日油っこい肉料理と酸っぱい漬物を食べたら、ドイツ料理はまずいと思わざるを得ませんね。世界文化遺産の味のバラエティの多い美しき和食の人間としては…
しかし、国の数の多かったことのおかげで、ドイツの食文化の基本は「郷土料理」です。海のある北ドイツと山のある南ドイツの郷土料理の間に大きな違いがあります。
ドイツの食文化の歴史を日本人は知っているのでしょうか。ドイツの食文化の最大の特徴は:外の食文化のエッセンスを取り入れて、アレンジし、ドイツの食文化の一部にすることです。
地理的・歴史的なドイツ食の進化の流れはそうでした。
地図を見てみるとドイツはヨーロッパの真ん中にあることがよくわかります。
その結果、現在のドイツ食文化の起源は
① 南からライン川まできた古代ローマ人の料理と食文化 ⇒ ワイン、スイーツ、ハーブの一部(パセリ、コリアンダーなど)玉ねぎ、にんに

く、魚料理、アプリコット、コショウ、アスパラガス、イチジク、栗、レタス、
酢、オリーブオイル。甘酸っぱい味。チーズ、ソーセージ(右写真→ソーセージ保存に使われた道具・ソーセージ冠)
② 西と中部で生活していたゲルマン系部族の料理と食文化 ⇒ 野菜料理がメイン=かぶの様々な種類と緑野菜。野菜スープ、大麦、ライ麦、カラスムギ属、パン粥、ビール、豆類、パン、りんご、野生果物、野生緑野菜、牛乳、バター、クワルク(フレッシュチーズ)。肉料理(週・月に数回)=牛肉、豚肉、ヤギ、チキン。


③ 東のスラブ系部族の料理と食文化 ⇒ 卵、牛乳、肉類(豚以外)=鶏肉がメイン。麦の種類・大麦、ライ麦など。キャベツ。カンバ(樺)とカバノキ(樺の木)のジュース、コンポート。
④ 地理的な影響=寒い北の海と温かい南の山 ⇒ 魚料理+肉料理。
⑤ 歴史的な宗教(キリスト教のルール)の影響 ⇒ 様々なレシピ・料理・食品開発。
⑥ 12世紀以降、さまざまな輸入食材 ⇒ アーモンド、チョコレート、紅茶、コーヒー、ジャガイモ、トマトなどなど
【書物】ドイツの食文化についての最も古い歴史的な情報源は古代ローマ帝国の帝政期ローマの政治家、歴史家コルネリウス・タキトゥスの紀元98年の書物『ゲルマニア』です。古代ローマ人であったタキトゥスは上からの目線でゲルマン部族の人たちの生活を”文明知らず”として描きましたが、その書物から様々な分野における貴重な情報が伝わってきました。
古代ローマ人にとって、領外のゲルマン民族、スラヴ人は蛮族、バルバロイにすぎませんでした。タキトゥスによるとゲルマンの人々が食べたもの:
Lebensmittel | 食品・食材 |
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果物 | » 野生の果物・ベリー |
肉魚 | » 新鮮な野生動物のお肉(ローマ人にとっては文明のなさのサイン) |
乳製品 | » 牛乳や”固い”牛乳=ドイツ語ではクワルク、フレッシュチーズのような乳製品(ローマ人にとってはしっかり固った丸いチーズが文明的でした) |
飲み物 | » 飲み物はビール(ローマ人のワインと違って) |
興味深い話です。歴史家として、どうしても日本の弥生時代や縄文時代と比べてしまう状況です。自然の中の生活にロマンと魅力を感じます。
